第十四回 仮面の下はどんな顔?
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『七色仮面』は夜店で売っていた
宣弘社の生み出したヒーローが安上がりにできていたのに対して、東映テレビ映画が生み出した『七色仮面』は違っていた。もともと劇場公開を前提に作られたせいか、アクションひとつとってみても迫力があった。それに、七色仮面のコスチュームも金がかかってそうだった。宇宙服のようなコスチュームに七色に輝く仮面をつけている。白黒テレビだけど七色に輝くように見えたんだよ。とにかく安っぽい仮面でなかったことは確かだ。月光仮面やハリマオは風呂敷で代用できたのだが、七色仮面はオモチャ屋か、縁日やお祭りでの露店で売られているセルロイドのお面を買うしかなかった。ゴムひもで顔にくくりつけるやつである。私も親に買ってもらって、七色仮面になったのだが、仮面のままで喋っているとだんだん息苦しくなり、長時間の着用は困難だった。
私が住んでいた広島では、日曜の朝9時から放送していたが、第4部<スリーエース>だけが放映されたような気がする。主人公の名探偵・蘭光太郎に。波島進が出演するだけで私はうれしかった。というのは、当時の私にとって身近な大スターだったからだ。
波島進が主演した映画の『七色仮面』は見ていないが、『少年探偵団』は見ていた。ラジオの人気番組に『少年探偵団』があり、それを東映が“少年探偵団シリーズ”として映画化し、波島進の明智小五郎のファンになっていたのだ。波島進イコール名探偵という図式が私の頭の中に出来あがり、少年たちと活躍する身近な存在として形成されていたからである。それにしても『七色仮面』は拳銃の射ち合いの多いテレビ映画だった。高笑いとともに七色仮面がぶッ放す二挺拳銃の弾丸は無尽蔵だった。
波島進の七色仮面は第4部で終了し、当時東映のニューフェースだった千葉真一が蘭光太郎になる『新・七色仮面』が始まるのだが、全く記憶にない。見ていたら、かすかでも憶えているだろうから、広島では放映されなかったのではないだろうか。同じ千葉真一主演の『アラーの使者』は、日曜の朝9時の時間帯で見ているので不思議な気がする。
『アラーの使者』は、アラーの使者が砂漠の中を白馬で行くタイトルだけは憶えているが、内容については殆ど記憶にない。千葉真一のバクテンするアクションがかすかに残っているくらい。日本人なのにアラーの使者というのが、子ども心に違和感があり、感情移入できなかった。原作は『月光仮面』『七色仮面』の川内康範。川内康範が創出した悪人は、殆どが奇怪な仮面をかぶっているのだが、『アラーの使者』は、悪人のイメージさえ浮かんでこないのだ。川内康範原作の仮面ヒーローは、よく考えると正体を隠す必然性がなにもないのだ。仮面のヒーローの正体は、世間でも認めている名探偵なのだから、素顔のままでも事件を解決できる能力を持っているのだ。敵を油断させるためだったら、正体はヘッポコ探偵でなければならない。今から考えると理屈にあわない主人公であった。
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スポンサーの名のついた『ナショナルキッド』 |
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日曜朝8時30分には『ナショナルキッド』があった。タイトルで誰でも予想できるように、提供スポンサーは松下電器である。『ナショナルキッド』と同様に、スポンサーの名をつけたものに『ソニー号空飛ぶ冒険』というのもあった。提供していたのは、もちろんソニー。ヘリコプター・サービス会社のパイロット二人組が、怪我人の救助や医薬品の運搬、はては犯罪者の追跡までするアメリカTV映画で、彼らの操縦するヘリコプターがソニー号なのだ。日本語に吹き替える時に勝手にソニー号と命名しただけである。
タイトルにはスポンサー名こそ出ないが、大村崑が主演した『とんま天狗』も本名は倉田典膳ならぬ尾呂内南公であった。スポンサーは大塚製薬で、そこの主要商品がオロナイン軟膏とくれば、言わずもがなである。これで思い出したが、前述の『アラーの使者』も提供がカバヤ食品で、カバヤン王国の末裔であるココナツ殿下を助けて、アラーの使者が闘うという設定になっていた。カバヤ食品の主力商品がココナツキャラメルだったのだ。
ほかにも少年忍者が活躍するアニメ『風のフジ丸』は、原作が白土三平の『忍者旋風』で、その主人公の少年忍者の名前は小太郎だった。フジサワ薬品の提供だったからフジ丸になったのだろう。学園アニメ『ハリスの旋風』の提供はハリスガム。当時は、今と違って一番組一社提供が主流だったので、このようなことができたのだろう。
さて、『ナショナルキッド』に話を戻すが、ナショナルキッドが持っていた武器にエロルヤ光線銃というのがあり、それが松下電器の売出した変型懐中電灯にそっくりだった。レーザー光線に似た光を発し、空飛ぶ円盤だって撃ち落としてしまう。ほうれん草の缶詰の売上げ拡大を狙って『ポパイ』を製作したアメリカのスポンサーに負けない松下の商魂であった。
『ナショナルキッド』は、第1部<インカ族の来襲>、第2部<海底魔王ネルコン>、第3部<地底魔城>で完結する。ナショナルキッドは、宇宙からの使者で、戦う相手は地球征服を目指す宇宙人や海底人、地底人といった連中で最もSF的であった。とくにネルコン魔王の率いる海底人は、アマゾンの半魚人というかトカゲ人間というか、その造形で画面にひきつけられた。ナショナルキッドのT字型に両腕を水平に伸ばして飛ぶ飛行スタイルは、両腕を前方に伸ばして飛ぶスーパーマンよりカッコよかった。何かで読んだのだが、飛行シーンをピアノ線が見えたりする人形の操演でなく、合成方式という当時でも屈指のSFX技術を使っていたとのこと。製作したのが東映テレビ映画で、1本あたり百万円の製作費をかけていたとのことで、出来ばえが素晴らしいのは当り前かな。
東映テレビ映画のSFアクションが『ナショナルキッド』であれば、『海底人8823(ハヤブサ)』は、大映テレビ室が製作したSFアクション。海底王国エルデよりの使者8823が、及川博士の数式を狙うブラックスター団と戦う物語。原作者は東宝怪獣映画『空の大怪獣ラドン』や『大怪獣バラン』の黒沼健。私が見たのは再放送分で、それも途中からだ。主人公の8823が赤土に足を滑らせ、大事なベルトがはずれて死にかけているところを、イサム少年に助けてもらうという、伝説的ズッコケシーンは残念ながら見ていない。
イサム少年が、お礼にもらった3万サイクルの笛を吹くと、地上の平和を守るため、背ビレが波を切って8823がやってくる。ジョーズじゃないですよ。海中から出現するというのはユニークなのだが、山奥で助けを求められたらどうするのだろう。8823が、ただ突っ立ているだけのタイトルも、陳腐さゆえに強烈な印象が残っている。マンガはカッコよかったのにね。
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| 資料提供 : Nostalgic World |
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| 次回は「こんなにも違う日本とアメリカの警察ドラマ」を掲載します。お楽しみに! |

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コメント
小学生の頃、夢中になった番組です。縁日で七色仮面のお面を買って貰い得意げになってた思い出があります。このコーナーは、いつも少年時代を回顧するには大変面白く拝見しています。
投稿者 小谷 堵 : 2007年06月08日 13:14
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