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第六回 毎日西部劇を見ていた

 

ハイヨー シルバー!ローン・レンジャーがやってきた

牛の群れを追うカウボーイ、幌馬車を襲うインディアン、高らかにラッパを鳴らして救援に駆けつける騎兵隊、酒場での大乱闘、メインストリートでの保安官と無法者の決闘、西部劇でお馴染みのシーンをテレビで見なくなって久しい。映画において、西部劇というジャンルが消滅したのだから、テレビにおいても当り前の話なのだが……。アメリカ人の心からフロンティア・スピリットがなくならない限り、西部劇は製作されると昔は思っていたんだよ。アメリカ=西部劇だったと云ってもいい。

ローン・レンジャー1960年代前半、アメリカ製テレビ映画が全盛の頃、西部劇はテレビの主役だった。毎日、どこかのチャンネルで必ず西部劇が放送されていた。1961年10月の週間テレビ番組欄をみると、西部劇が21本も放映されている。そんな数ある西部劇の中でまっさきに思い出すのが、ロッシーニの勇壮な“ウィリアム・テル序曲”にのって西部の荒野をかけめぐる『ローン・レンジャー』だった。小学校の音楽のレコード鑑賞の授業では、誰もが“ローン・レンジャーのテーマ”として聴いていたっけ。白い帽子に黒いマスク、腰の二挺拳銃には狼男だって倒すことのできる銀の弾丸。良質の銀が産出する鉱山を私有しているのだから、銀の弾丸だって不自由しない。



ハイヨー シルバー!ローン・レンジャーと行動を共にするのは、愛馬シルバーとインディアンのトントだった。シルバーは純白の野生馬で、その輝くばかりの美しさに、ローン・レンジャーが“シルバー”と名付けたのだ。「ハイヨー シルバー!」の掛け声とともに、山を越え谷を渡り、荒野を疾駆する。その速さは、どんな馬もかなわない。“インディアン ウソ言わない”正直で勇敢なトントは、ローン・レンジャーにとって、最も頼れる相棒。拳銃だけでなく、ナイフの腕前も天下一品。トントのおかげで、何度危難から救われたことか。トントがローン・レンジャーに対して言う“キモサベ”が流行語になり、学校帰りの道で友だちと別れる時、「アディオス キモサベ」なんて言ったもんだ。



「アディオス キモサベ」ローン・レンジャーはスーパーマンと並んで、戦前からアメリカの少年の間では圧倒的な人気をはくしていた。最初はコミックブックで、そして1933年にラジオの連続放送劇として登場するや人気は頂点に達した。ロバート・リビングストン主演で、連続活劇映画として映画化もされている。戦後は、クレイトン・ムーア主演でテレビ・シリーズ化された。テレビでも人気番組となり、1949年から58年まで9年間放送され221話もある。56年には映画化もされている。ちなみに、トントに扮していたのはジェイ・シルバーヒールズだった。日本では1958年から放送開始され、何度も再放送されていたね。

 
 
 

ランダル銃がイカした『拳銃無宿』

 

スティーブ・マックィーン無法と混乱の西部開拓時代、法に背いたお尋ね者を追うのは、保安官だけとは限らなかった。懸賞金のかかった無法者にとっては、バウンティー・ハンター(賞金稼ぎ)は保安官より手強い存在だった。なにしろ指名手配書には「生死を問わず」とあるので、犯人を見つけたら、たいていのバウンティー・ハンターは、どんな汚い手を使ってでも相手を殺していた。死体にしてしまえば、護送の手間が省けるからだ。逃げようとしたので射ったと言えば、正当化されたのだ。賞金目当てに、恨みつらみのない人間を追って歩く合法的殺人者は、一般市民から毛嫌いされ、決してカッコいいものではなかった。

そんなバウンティー・ハンターをヒーローとして描いたのが『拳銃無宿』(原題は指名手配書に表示されている WANTED DEAD OR ALIVE)だった。『拳銃無宿』の主人公ジョッシュ・ランダルは、彼一流の正義感から悪人を追跡する。彼はお尋ね者を見つけても決して殺さない。生け捕りにすることを心がけているのだ。護送の途中で、相手に同情して裏切られたり、無実とわかって真犯人を捕まえたり、悪党の仲間が奪い返しにきたり、他のバウンティー・ハンターが横取りを狙ったりと、サスペンスあふれた内容となっていた。

スティーブ・マックィーンしかし、心やさしいジョッシュといえども、相手が銃に手をかけたら、自衛のために腰の拳銃ならぬランダル銃が火を吐く。ランダル銃というのは、M92ウィンチェスター・カービンの銃身を短く切った特製銃。私たち悪ガキには憧れの的だった。当時はガンと西部劇のブームで、デパートのオモチャ売場にはたくさんのモデルガンが並んでいた。ランダル銃も売られていたが、高かったんだよね。親にねだって買ってもらえる代物ではなかった。西部劇ゴッコでは、誰もジョッシュになれなかったんだよ。

お尋ね者をもとめ、ひとり荒野を旅するジョッシュには、当時無名だったスティーブ・マックィーン。一匹狼のクールな感じと、時おり見せるユーモアと人なつこい暖かさがジョッシュの魅力であり、マックィーンのイメージとぴったし一致したのだ。孤独と哀愁がにじみでたマックィーンのニヒルな表情に女性はシビレ、私たち子どもや男性はランダル銃の早射ちにシビレた。マックィーンはこの作品で人気スターとなり、映画へ進出し、大スターの道を歩むことになる。マックィーンといえば『荒野の七人』『ネバダ・スミス』などで颯爽とした西部男ぶりを見せたが、乗馬は大の苦手だったとか。『拳銃無宿』の初期の頃の乗馬シーンは、スタントマンによる吹替えだったんだよ。

スティーブ・マックィーン 資料提供 : Nostalgic World

 
次回は「一人でトイレに行けなかった」を掲載します。お楽しみに!

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コメント

楽しく読ませていただきました。本年は「ジョン・ウェイン」生誕100周年だそうです。「駅馬車」「拳銃無宿」「アパッチ砦」「リオ・グランデの砦」「赤い河」「騎兵隊」などのDVDを一人で楽しんで観ています。因みに娘たちかみさんは全く興味を示しません。アラン・ダットの「シェーン」ゲイリー・クーパーの「真昼の決闘」ヘンリー・フォンダの「荒野の決闘」本当に「西部劇」が楽しい時代でした。

投稿者 瀧澤 征宏 : 2007年02月09日 15:37

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