メール会員 ただいま募集中!

第二回 「陸釣りたぁ、よく言ったもんだ」

(文) 海風亭世の介
 

それにしても可愛いぞ、えびちゃん。可愛いにもほどがあるよな。しかしまぁ、CanCamやJJに出てくる女の子たちのおしゃれに対する執念てぇのはすごいね。ヘアも、洋服も、メイクも、小物も、完璧。男にもてるためなら、そんなに頑張らなくても、と思うけど、見てるとあれは女同士で張り合ってるんだな。だから際限がないんだ。まったく女の業と欲は深いからな。昔から女を社会的に封じ込めようとした宗教や権力は多いけど、“女を野放しにしておくと大変だ”って気づいてた知恵者がいたんじゃねーか。今は野放しだもんな。おっと、こんなこと田嶋陽子なんかに聞かれた日にゃぁ、何言われるかわかんねぇな。おっかねぇからここらでやめとこ。

イメージさて、えびちゃんといえば恋だ。(相変わらず強引だな)おいらもそこそこ場数踏んできたけど、思えば思うほど色恋は釣りに似てるな。銀座や六本木で金目のものばら撒いて女の気を引こうとするのは、さしずめこませ釣りだ。物量作戦っていう了見が気に入らねぇし、第一海が汚れるんだ。ま、獲物のほうも心得たもんで、こませだけ腹いっぱい食ってバイバイなんてぇのも多い。いずれにせよ下種なやり口だ。バーテンや美容師が客の女と仲良くなるのは、定置網だ。黙ってても獲物が飛び込んでくるんだから羨ましいような話だけど、ただ獲れりゃいいってもんじゃない。しかけの工夫や、糸の出し入れ、棚の様子を想像したりという釣りの醍醐味には欠けるんじゃないのかな。色恋も駆け引きと会話だからな。他にも野郎とつるんで同じ獲物狙ってて糸からまって大騒ぎになって逃げられたり、合わせるのが早すぎてばれたり、逆に餌を針ごとばっくり飲み込まれてにっちもさっちもいかなくなったり、いやぁ書いてて身につまされるな。ま、早い話が色恋も釣りも技術なんだ。よく若い連中に言って聞かせるのは“お前がもてないのはお前に魅力がないからじゃねぇんだ。お前のやり方が下手糞なんだ”ってね。どんなに男前で性格が良くてもそれだけじゃ女はついてこねぇ。相手の裏をかいたり、じらしたり、ちょっと意地悪したり、時には芝居うったりが肝心だ。真心なんて忘れちまいな。女ってぇのは陳腐な真実より甘い嘘のほうがお好みなのさ。困ったもんだ。でもそこが可愛いところだけどな。

このサイトの読者なんかも、ばりばりの現役というわけにもいかなくて、かといって老け込む年でもないし、微妙なお年頃なんだろな。もじもじしてんだろうな。でもナポリなんか行くと60くらいの親父が派手なジャケット着てコロンぷんぷんさせて花束かなんかかかえていそいそと歩いてるぞ。ま、イタリア男になれとはいわないけど、色恋をあきらめたり忘れたりした時から、老年が始まると思って間違いない。みんなまだ早いだろ。

さ、おいらはこれからちょっと先の諸磯海岸まで行って釣りだ。糸も竿もちょいと細めのやつであいなめかなんか狙おうかな。なに釣れても釣れなくてもいいんだ。ぷるっとくるあの感触がいいのさ。当人がいやだと言やぁ無理にとはいわねぇ、そのまま逃がしてやるさ。色恋みたいなもんだからな、釣りって。 (おわり)



トラックバック

このエントリーのトラックバックURL:
http://j-senioronline.com/mt/mt-tb.cgi/32

コメント

コメントしてください




保存しますか?