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第二回 野球世界一決定戦 ワールドベースボールクラシック開催

(文) スポーツジャーナリスト・白髭隆幸
協力:SPORTS 21
 
3月3日から20日まで、アメリカを中心に野球の国別世界一決定戦、ワールドベースボールクラシック(以下WBCと記す)が開催される。これまで野球の国際大会といえばIBAF(国際野球連盟)ワールドカップ、インターコンチネンタルカップなどがあるが、いずれもアマチュア主体の大会。
オリンピックでは一部プロ選手も参加しているが、夏季オリンピックはメジャーリーグ(以下MLBと記す)開催中で、MLB登録選手は出場することができなかった。それがWBCでは、MLBが音頭をとって積極的にMLB所属選手も参加することになり、真の「野球国別対抗戦」の体裁をとることができた。

まず1次リーグは16チームが4グループに分けられ、グループ内で1試合総当たりして各グループ上位2チームが2次リーグに進む。そして2次リーグの上位2位が準決勝に進み、そこからはノックアウトシステムで野球の国別世界一を決定する。日本は、中国、中華台北、韓国の順にアジアの国々(グループA)と東京ドームで戦い、そこで上位2位にまでに入ればアメリカ、カナダ、メキシコ、南アフリカのグループBの上位2チームと2次リーグを戦う。その他、プエルトリコ、キューバ、パナマ、オランダ(グループC)、ドミニカ共和国、ベネズエラ、オーストラリア、イタリア(グループD)が参加する。

イチロー(マリナーズ)、大塚晶則(レンジャース)とMLBからの参加は二人だけとなった日本だが、王貞治監督が望んだ日本国内のプロ選手は、ほぼ結集することができた。日本のプロ野球のレベルを世界に示すことができるだろうか。
 さて、国別野球の対抗戦といえば、なんといっても最近ではオリンピックが有名だ。野球がオリンピックに参戦したのが1984年のロサンゼルス・オリン ピック。当時オリンピック憲章で、開催地が2競技まで任意でデモンストレーション競技を選ぶことができ、アメリカは野球とテニスを実施することになった。

アマチュア世界一のキューバは、旧ソ連の大会ボイコットに同調して大会自体に参加しなかったが、その大会で日本は地元アメリカを破って優勝してしまう。 監督は松永怜一、投手に宮本和知、野手に広沢克己らがいた。野球の母国アメリカを地元で破ったのは日本球界にとってはセンセーショナルなことだった。歴史に残る勝利といっても良い。
 4年後のソウル・オリンピックでも野球はテコンドー、女子柔道とともにデモンストレーション競技で実施された。初めて夏季オリンピックの取材に赴いた私は、何度も野球会場に足を運んだ。プレスセンターにしか入れないAD(取材許可証)ホルダーだった私は、切符を購入し取材するしかなかった。正式競技でなかった野球のチケットは安くて手に入りやすかったのだ。

会場になったのは、メインスタジアム横の蚕室(チャムシル)野球場。日本チームは、鈴木義信監督の下、社会人17人、学生3名で編成されていた。なんと、後にMLB入りする野茂英雄(当時新日鐵堺)、今年からヤクルトのプレーイングマネージャーになった古田敦也(当時トヨタ自動車)が日本代表とし参加していた。

ソウル大会にも実力ナンバー1のキューバは不参加。4年前と同様にアメリカと日本が決勝戦で相見えた。一時は先行した日本だったが、雪辱の意気に燃える アメリカの主砲マルチネスの2点本塁打などで逆転され、反撃を隻腕のエース、アボットに抑えられたファイナルスコアー3-5。アメリカのリベンジを許して連覇の雄図を断たれた。しかし、両チーム実力を出しあった好試合だった。
後年、野茂英雄にインタビューする機会があったが、ソウル大会の印象を、「野球はデモンストレーションということで、他の正式競技の選手と微妙に差別されました。『後に続く者たちのため、野球をメジャーにしないといけない』と痛感しました。反面、選手村でカール・ルイスとかセルゲイ・ブブカに逢い『やっぱオリンピックは凄いな』と感激しました。僕のキャリアの中でも特筆できる経験だったと思う」と語っていた。野茂にとってもソウルは人生の一つのエポックであったことは確かなようだ。

4年後のバルセロナ大会から野球は正式競技に昇格。キューバの参戦もあり日本は銅メダルに終わる。アトランタは銀メダル、プロ選手が参加したシドニーは4位、長嶋ジャパンとして話題を呼んだアテネ大会は銅メダルに終わった。
 それだからこそ、野球の母国アメリカと金メダルを争ったロサンゼルス、ソウルの二つのオリンピックは異彩を放っていると言っても過言ではない。もともと昭和の初期に正力松太郎翁が日本にプロ野球を創設したのも「打倒・アメリカ」という目標があったからと聞く。

さて、今回のWBCで野球の母国アメリカと日本の対決は、順当にいけば3月12日にカリフォルニア州アナハイムのエンゼル・スタジアムで実現する。そして、日本とアメリカが2次リーグで1位か2位になれば、3月18日にカルフォルニア州サンディエゴのペトコパークで行われる準決勝でアメリカと再戦とる。
アメリカのメンバーは、全員がメジャーリーガー。優勝候補大本命のスター軍団だ。100マイルの球を投げるビリー・ワグナー(メッツ)、昨季 MLB22勝のダントレル・ウイリス(マリーンズ)、サイヤング賞7度獲得のロジャー・クレメンス(アストロズ)MLBの顔的存在ルイス・ゴンザレス(Dバックス)、カリスマ性あるデレク・ジータ(ヤンキース)、そしてアレックス・ロドリゲス(ヤンキース)と錚々たる選手がノミネート
している。まさにアメリカ史上最強チームだ。

野茂英雄や古田敦也がソウルで経験した日米対決とは、格が違う。まさにドリームス・カム・トゥルー。
今回のWBCが成功すれば、サッカーのワールドカップ並のイベントに発展していく可能性もある。そうなればオリンピックで野球が正式競技から外れても、野球というスポーツの魅力の意味からは大きなダメージにはならないだろう。
プロ野球にとっては、シーズンに入る前の大事な時期。しかし、そのリスクを押してでもやってみる価値のあるイベントWCB。野茂も古田もソウルでの日米対決を思い出しながら、期待しながら観てくれることだろう。


 

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