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第一回 皆さん、初めまして。

 
(文)上海工商外国語学院 客員教授・中本 洋
 
私は中本 洋と申します。現在、上海の私立大学<上海工商外国語学院>で、日本語の作文や会話を教えています。7年前、東京のある大手出版社を<55歳退職金優遇制度>を利用して自主退職し、上海の大学に語学留学しました。学生時代から中国に関心を持っていたので、会社にいる間、こつこつと自分で中国語を勉強していましたが、なんとか喋ることが出来るようにと、一念発起したのです。<喋れない外国語の勉強はなんの意味もない>と思っていましたから。とにかく、体も精神も元気なうちに未知の世界に飛び込んでみようと思ったのです。定年後とも思いましたが、出世の望みもない「定年までの5年間」は長すぎるというわけです。勿論、妻や4人の子供たちは驚きましたが、子供たちはすでに全員就職していたので、問題はありませんでした。


そして、勇躍(心中、不安が一杯でもありましたが)上海に単身渡り、一年間、若い人に混じって真面目な留学生として懸命に努力しました。その間、多くの上海人と知り合いました。そして、友人の一人が創立間もない今の大学の日本語の学部長になり、大学の日本語教師に呼ばれたというわけです。その際、幸いにも妻も同じ大学の会話の教師として招かれ、つまりは伴侶のある外国生活となり、幸運でした。
一歳下の妻は専業主婦でしたので、最初は自分の余りの変化に戸惑っていましたが、今は楽しそうに教鞭をとっています。一年毎の契約ですが、この9月から5年目になりました。大学も私たちをそれなりに評価してくれたのでしょう。給料はそれほど高くはないですが、二人で働いていますので、十分です。


今では毎年、夏休みと冬休みに東京に帰り、9ヶ月間は上海でという暮らしが続いています。当然のことながら、最初のうちは上海での暮らしは驚くことばかりで、新鮮といえば新鮮、面白いといえば面白く、大変といえば大変でした。でも、<郷に入れば郷に従う>ではありませんが、入り込んでしまえば、緊張社会の日本と違って上海での生活はとても「気楽」に感じます。それはまだまだ中国は「人治国家」であるからでしょう。「青空」(未来)と「抜け穴」が一杯ですからね。


つまり、中国人は基本的に<いいかげん><ずるい><現実的><利己主義>ですから、別ないい方をすれば極めて人間的です。そして、今の上海は戦後10年くらいの日本のようで、活気に溢れています。「上海万歳!」。その上海から日本を眺めると、今まで見えなかった日本と日本人が見えてきます。ともあれ、これから<地べたから見た日中の交差点>を連載します。私は一人で中国語を勉強し、一般のアパートで生活し、一般の中国料理を食べてきました。今では日常生活では言葉も大丈夫ですし、今も多くの一般の中国人や学生と接しています。上海で豪華なマンションに住み、お手伝いさんを雇い、高給を取って働いている日本人サラリーマンとは違います。いわば<地べた>で6年間生活してきました。私の第二の人生から生まれた独特の経験や考え方が、定年後の第二の人生に踏み出そうとされている方々への応援メッセージとなれば幸甚です。これからをお楽しみに。

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