| (文)上海工商外国語学院 客員教授・中本 洋 |
| 中国のインターネットを見ていたとき、偶然<一人っ子>についての告白を見つけました。「私は26歳の女性で、昨年、妻を亡くしたばかりの男性と恋に陥り、結婚しました。彼には前妻との間に5歳の女の子がいました。今、3人は仲良く暮らしています。ところで、わが国では<一人っ子政策>が取られていて、そのため、実は私はもう子供を生むことができないのです! 私は女としてもう子を生めないなんて、想像するにも恐ろしいことです。私が何を悪いことをしたのですか? 私は自分の血を受け継いだ子が欲しい! 時々絶望のあまり、気が狂いそうになります」。
中国独特の<一人っ子政策>が実行されてもう30年になります。<一人っ子>はすでに一億人を越えました。そして、今、<一人っ子>が<一人っ子>を産む時代になってきました。その間、子供の成育についての問題点は、何度も専門家によって指摘されてきました。主な指摘は<協調心がない><我儘>などなど。しかし、彼らはいずれ自業自得でそれなりの報いを受けることでしょうが、この文章を読んで、私は初めて母性としての女性の心の底からの絶望の声を聞きました。また、次のようなメールもありました。「私の息子は17歳で骨癌にかかり、17万元を費やしても駄目だった。私は党と政府の政策に従ってたった一人しか子供をもうけなかった。今、子供はもういないし、作れない。今は経済的にもとても困窮している。それなのに誰が私達の面倒を見てくれるのだ!」。親の悲痛な叫びが聞こえてきます。 最近、北京大学の人口研究所教授が<一人っ子>の五つの問題点を指摘しています。1、夭折や重病になる危険性。統計によると、5.4%が25歳以下で死亡し、12.1%が55歳以下で死亡している。これらの家庭はその後壊滅的な打撃を受ける。2、親の過分な愛情と期待を背に、<有為の人材>になるための圧力に多くの学生は自滅している。3、結婚しても将来お互いの両親を養わなければならないため、経済的にも大変な負担が強いられる。4、社会に出て、<自分のことしか考えない>一人っ子は、社会の公民としての生活が出来るのか。5、一旦、国家が戦争になったら、一人っ子で大丈夫なのか……。一々頷くことばかりです。 ところで、上海の大学で教え始めた時、私は真面目でよく勉強する学生ばかりと軽い気持ちで来たのですが、二、三週間過ぎた時、はたと気づいたのです。生徒は全員<一人っ子>だということを! つまり、世にも珍しい<我儘な>集団を教えていることを! 実際彼らは、特に男子ですがよくサボり、遅刻する、授業中グーグー寝る、絶え間なくお喋りする、ケイタイのゲームで遊ぶ……。こんな学生がどのクラスにも結構いました。ビックリしましたね。それにとても不思議に思ったのですが、おしゃべりする学生を注意する学生がいないのです。じっと耐えています。「彼らは彼ら、喧嘩になればつまらない」と言うわけです。私は何度もしかりつけましたが、まるで「糠に釘」。中国人の若い先生など、あるとき「私達の学費のおかげであなた達は食べられるのよ。偉そうにしないで!」と言われ絶句したそうです。 上海では繁華街で親子三人連れの姿をよく見かけます。幸せそうです。子供は精一杯着飾り、甘やかされているようです。しかし、前述した北京大学の教授のレポートを考え合わせて見ていると、彼らに心からの祝福を送れないのです。<小皇帝>と言われる我儘な子ばかりの将来の中国社会は、考えるだに恐ろしいものです。また、先の二つのメールのような衝撃のケースもあります。深い闇を抱えて中国社会はどこへ行くのでしょうか? 最近、中国の経済発展ばかりに目を向けて、<中国脅威論>がいわれていますが、<一人っ子>を見ていて、私は中国人のパワーを過大評価しなくなりました。そして<団結力のある日本人が負けるはずがない>と思うようになりました。読者諸賢、如何でしょうか。 |
中国では、“一人っ子政策”、日本では“少子化”で頭を抱えていますね。子供をもうけるって事は本来、政府があれやこれや言う事ではないとは思うんですが、ほおって置いたら国が破綻してしまうんでは、しかたないのかな、、。はやく、子供を望む人たちが、安心して産めるような社会が来るとよいですね。
投稿者 葉村恵 : 2007年03月15日 10:19